子どもたちが理科を苦手になるポイントと、理科が実生活に役立たないと感じられる理由を整理します。
■ 理科が苦手になる3つのポイント
1. 抽象的な概念への移行でつまずく
学年が上がるにつれて内容が積み重なり、抽象度も高くなります。この段階で理解が追いつかないと、苦手意識が定着します。
理科(中学以降)
化学の「原子・分子」、物理の「力学・電気」など、目に見えない現象を扱うようになります。
- 例:「電流は見えないのに、なぜ流れると言えるのか?」「モーメントとは何か?」
- 日常感覚とかけ離れているため、イメージを持ちにくい
2. 「なぜ?」から「解法パターン暗記」へと変質する
テスト対策中心の学習になると、探究よりも「作業」が重視されがちです。
公式・手順の丸暗記
原理のつながりが見えないまま暗記するため、意味を理解できません。
学習意欲の低下
本来の「なぜだろう?」という好奇心が失われ、点数獲得のための作業に変わってしまいます。
3. 教師・教材の構成不足(インストラクショナルデザインの弱さ)
生活とのつながりが示されない
「自分の生活にどう関係するのか」が示されず、知識が教科書の中だけで完結します。
情報量が多く、構造化されていない
複雑な内容を整理せずに提示すると、生徒は「難しい」「ついていけない」と感じやすくなります。
■ 理科が「役に立たない」と思われる3つの理由
1. 知識の応用が示されない
授業が抽象的な説明で終わり、実生活との接続がありません。
- 浮力 → 「船が沈まない理由」
- 化学 → 「スマホのバッテリーが長持ちする仕組み」
こうした具体例が示されず、日常で使わない専門用語ばかりが並びます。
2. 仕事とのつながりが見えない
理科の内容がどんな職業に結びつくのか示されないため、「理系に進む人だけの科目」と誤解されます。
また、科学リテラシーが「消費者としての判断」や「デマ対策」に役立つことも伝わっていません。
3. 科学本来の面白さが欠けている
現象より先に定義・公式を教える授業が多い
探究心が育ちにくく、生徒の素朴な疑問もテスト重視の中で軽視されがちです。
■ 偏差値50(平均層)の理解の特徴
中学卒業時点で偏差値50程度の生徒には、次のような特徴が見られます。
「覚えることはできるが、「理由を理解し、応用する」ことが難しい
理科でのつまずき
- 力学:「力のつり合い」「作用・反作用」の概念理解が浅い
- 電気:「電流と電圧の違い」が整理できない
- 化学:「原子・分子・イオン」などの階層構造の理解が不足
- 暗記はできても、現象と原理をつなげることが難しい

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