科学論文とは
事実に基づくこと
科学論文は、観察や測定によって得られた客観的な事実に基づいて書かれます。
- 実験で測定した数値
- 観察で確認できた現象
- 既に証明されている科学的理論から展開されること
科学的な文章には、得られた事実や理論と、それに基づく意見だけを述べ、心情的な要素は含みません。
論文の本文では、「事実」と「意見」を明確に区別して書き分けることが、最も基本的かつ重要なルールです。
感想はいらない
科学論文を書く目的は、自らの研究に関わる新しい情報を事実として得るためであり、感想文や論評を書くためではありません。
そのため下記のような表現は使わないのです。
論文に書いてはいけない表現:
- 「楽しかった」「面白かった」
- 「〜だと思う」「〜な気がする」
- 「うれしかった」「残念だった」
数字で表す(客観的なデータの利用)
科学的文章では、事実を具体的に伝えるために、数値や図表が頻繁に使われます。
効果的なデータの示し方:
- 実験結果は図(グラフ)や表で示す
- 具体的な数値を記録する
- データをわかりやすく視覚化する
注意点: 「
科学的である」ことは必ずしも「数字を扱うこと」だけを意味しません。
数字を多用していても、論理に飛躍があったり、再現性がなかったりすれば、それは科学的とは言えません。
論文の基本構成
科学論文は、以下の基本的な構成要素を持っています。
| 構成要素 | 概要 |
|---|---|
| タイトル | 内容が具体的に想像できるもの |
| 著者名 | 研究に実際に関わった人 |
| 要旨(Abstract) | 論文全体の要約 |
| 序論(Introduction) | 研究の背景、目的、先行研究、着眼点 |
| 本論 | 一般には、方法、結果、考察に分割 |
| 結論(Conclusion) | 研究のまとめ |
| 引用文献 | 参照した文献のリスト |
| 謝辞 | 協力者への感謝 |
各構成要素の詳しい説明
序論(Introduction)
序論では、以下の二点を明確にする必要があります。
研究対象
- どんな分野の何を研究するのか
- どのような問題に取り組むのか
研究目的
- なぜその問題に取り組むのか
- 研究の意義や価値は何か
目的は、背景となる問題点を踏まえた上で、「何をどこまで明らかにするのか」を述べる部分です。
本論の重要な要素:結果と考察
本論の最も重要な部分に「結果」と「考察」があります。
| 項目 | 役割 | 記述する内容 | 性質 |
|---|---|---|---|
| 結果(Results) | 事実(データ)を提示する | 実験や調査で得られたデータ(数値、図、表など)を示す | 客観的な事実(過去形表現) |
| 考察(Discussion) | 結果に基づき論理を展開する | 結果のデータが示すことの解釈、そこから導かれる結論、他の研究との比較、研究の意義を議論する | 事実に基づく意見/論理的な解釈(論文に必須) |
結果(Results)の書き方
結果では:
- 実験で得られたデータをそのまま示す
- 「温度は25℃だった」「植物Aは10 cm成長した」など
- 解釈や意見は加えない
- 過去形で書く
考察(Discussion)の書き方
考察では:
- 結果のデータが何を意味するのかを解釈する
- なぜそのような結果になったのかを論理的に説明する
- 他の研究結果と比較する
- 論理の飛躍があってはいけない
文章の書き方のルール
パラグラフ(段落)の構造
論文の文章は、読者が理解しやすいように論理的に構成されなければなりません。
一つの内容に一つの段落
一つの段落(パラグラフ)で扱う話題や主張は一つにするのが大原則です。
大から小へ
段落の始めに、その段落の内容を最もよく表す文章を置き、詳細を後に続く文章で説明する「大から小」が基本です。
短文を心がける
わかりやすい文章を書くためには、「一つの文章に一つの内容」を心がけ、長い文章は避けるべきです。
主語と述語を明確に
主語と述語の関係を明確にすることが非常に大切です。
表現の統一
論文やレポートの文体は、すべて「である」体で統一することが基本です。
図表の説明
図や表を入れた場合、それに関する説明を本文中で必ず行わなければなりません。
校正(推敲)のポイント
論文は、何度も内容を練り直して(推敲)完成させます。
自己チェック
論文がある程度仕上がったら、自分で読み返します。
チェックポイント:
- 漢字や言葉の間違いはないか
- 日本語としておかしいところはないか
- 論理が飛躍していないか
- 事実と意見が混同していないか
他人からの意見
自分で推敲し終えたら、他の人に読んでもらい、アドバイスをもらうと論文の出来が良くなります。
まとめ:科学論文を書くときの心構え
- 客観性を保つ – 感想や主観を排除し、事実とデータに基づいて書く
- 論理的に考える – 結果から考察への流れに論理の飛躍がないようにする
- 明確に書く – 読者が理解しやすいように、短文で明確に書く
- 繰り返し推敲する – 何度も読み返し、改善を重ねる
- 他者の意見を聞く – 自分だけでなく、他の人からもフィードバックをもらう
最初は難しく感じるかもしれませんが、このガイドのルールを守って書き続けることで、論理的で説得力のある文章が書けるようになります。
※AI支援により記事を作成しています。


コメント