「自律して生きる」とは、自身の生活を支える資源を定量的に把握することから始まります。一般家庭の平均消費量と、食糧・エネルギーを自給する場合の必要量を比較。米・野菜から電力の確保まで。生存に必要なリソースを可視化し、依存脱却のための「生活インフラの設計図」を提案します。
「田舎に移住して自給自足したい」って、一度は考えたことありませんか? でも、それって実際どれほど大変なんでしょう。ここでは、私たちが何気なく消費している食料・電気・ガス・水道を「数字」で可視化して、自給自足の現実を探ってみます。
食料編:「お米だけでこんなに!?」
普通の暮らしでは…
あなたが1年間に食べるお米、何kgか知っていますか? 約60kgです。毎日お茶碗2杯くらい食べていると、年間でこれだけ。4人家族なら240kg、つまり米袋48袋分が必要になります。
野菜は1日350gが推奨されているので、年間で128kg。肉や魚もそれぞれ15〜20kgずつ、卵は180個くらい食べています。
| 食品 | 1人/年 | 4人家族/年 |
|---|---|---|
| 米 | 60kg | 240kg |
| 野菜 | 約128kg | 約512kg |
| 肉類 | 15〜20kg | 60〜80kg |
| 魚類 | 15〜20kg | 60〜80kg |
| 卵 | 約180個 | 約720個 |
自給自足するなら…
ところが、自分で作るとなると話が変わります。不作のリスクを考えて、お米は倍の120kg確保したい。野菜も保存分を含めて150〜200kgは必要です。
卵は鶏を2〜6羽飼えば年間200〜250個は採れますが、肉や魚を自給するのは現実的じゃない。結局、これらは「購入」に頼ることになります。
つまり: 自給自足といっても、完全に外の世界と切れるわけじゃないんです。米と野菜と卵がメインで、たんぱく質は補助的に買う。これが現実的なラインです。
電気編:「太陽光パネル、何枚必要?」
普通の暮らしでは…
1人暮らしなら年間1,500〜2,000kWh、4人家族なら4,000〜5,000kWh使っています。冷蔵庫、エアコン、テレビ、スマホの充電…全部合わせるとこうなります。
オフグリッド生活なら…
完全に電力会社から切り離すなら、年間1,400〜3,000kWhに抑えたい。つまり、冷蔵庫と照明、PCくらいに限定する生活です。
そのためには太陽光パネル1〜3kWと蓄電池5〜10kWhが必要。初期投資は数百万円規模です。それに、「曇りの日が続いたらどうするか」という問題も残ります。
つまり: 電気の自給は可能だけど、快適さとのトレードオフ。エアコン使い放題の生活は諦めることになります。
ガス編:「薪ストーブが現実解」
普通の暮らしでは…
都市ガスを使っている家庭なら、年間80〜450㎥くらい消費します。料理、お風呂、暖房に使っていますね。
自給するなら…
ガスの自給は不可能です。代わりに薪を使うことになります。
- 調理: 薪ストーブやロケットストーブ
- 暖房: 薪ストーブ
- お湯: 薪ボイラーかソーラー給湯器
補助的にLPガスのボンベを年間20〜50㎥だけ使う、というのが現実的。薪は年間3〜5㎥必要で、これを自分で割るのも一仕事です。
つまり: 薪割りが日常になります。冬の朝、ストーブに火をつけるところから1日が始まる生活です。
水編:「井戸がないと詰む」
普通の暮らしでは…
1人暮らしで年間50〜70㎥、4人家族で**200〜300㎥**使います。お風呂、トイレ、洗濯、料理…水って意外と使っているんです。
自給自足なら…
生活用水だけなら、節約すれば1人年間30〜45㎥で済みます。でも問題は農業用水。
- 田んぼ200㎡: 年間約50〜70㎥
- 畑50㎡: 年間約5〜15㎥
合計すると、1人あたり40〜80㎥/年、4人家族なら200〜320㎥/年が必要です。
水源は?
- 井戸(最重要!)
- 雨水タンク(補助的に1,000〜2,000L)
- 用水路(農業専用)
つまり: 井戸がないと自給自足は成り立ちません。雨水だけでは全然足りないんです。
まとめ:「自給自足の現実」
普通の1人暮らし
- 米: 60kg
- 野菜: 128kg
- 電気: 1,500〜2,000kWh
- 都市ガス: 80〜120㎥
- 水道: 50〜70㎥
自給自足の1人暮らし
- 米: 120kg(倍!)
- 野菜: 150〜200kg(やや増)
- 電気: 1,500〜3,000kWh(太陽光1〜3kW)
- 調理・暖房: 薪3〜5㎥
- 水: 40〜80㎥(井戸必須)
結論:「自律」とは「依存先を知ること」
完全な自給自足は、思っているよりずっとハードです。でも、「何をどれだけ消費しているか」を知るだけでも、生活への向き合い方は変わります。
自律して生きるとは、すべてを自分で賄うことじゃない。何にどれだけ依存しているかを把握し、必要に応じて依存先を選べる状態こそが、本当の自律なのかもしれません。
あなたは、どこまで「自分で」やってみたいですか?

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