はじめに:化学物質を「知って使う」
毎日使う洗剤、シャンプー、化粧品、接着剤。これらすべてが化学物質でできています。「化学物質」という言葉に不安を感じる方もいるかもしれませんが、水(H₂O)も食塩(NaCl)も化学物質です。重要なのは「天然か人工か」ではなく、「どんな性質を持ち、どう使えば安全か」を理解することです。
本記事では、家庭や職場で使う化学製品について、化学式・用途・リスク・安全な取り扱い方を体系的に整理します。
SDS(安全データシート)の見方と活用法
Safety Data Sheet(安全データシート)は、化学製品の危険性・有害性、取り扱い方法、応急処置を記載した文書です。労働安全衛生法と化管法により、事業者間取引では交付が義務付けられています。
一般消費者向け製品にはSDSの交付義務はありませんが、多くのメーカーがウェブサイトで公開しています。使用する前に、SDSを確認する習慣をつけることで、多くの事故を防ぐことができます。
SDSの16項目構成
| 項目 | 記載内容 | 一般使用者が見るべきポイント |
|---|---|---|
| 1. 化学品及び会社情報 | 製品名、メーカー連絡先 | 緊急時の問い合わせ先 |
| 2. 危険有害性の要約 | GHS分類、絵表示 | 最重要: 炎・どくろ等のマークで危険度を判断 |
| 3. 組成及び成分情報 | 化学物質名、濃度 | アレルギー成分の確認 |
| 4. 応急措置 | 吸入・接触・誤飲時の対処 | 緊急時必読: 印刷して保管推奨 |
| 5. 火災時の措置 | 消火方法、禁水性 | 消火器の種類確認 |
| 6. 漏出時の措置 | こぼれた時の処理 | 家庭での対処法 |
| 7. 取扱い及び保管 | 適切な保管温度・場所 | 子供の手の届かない場所、温度管理 |
| 8. 暴露防止及び保護措置 | 必要な保護具、許容濃度 | 手袋・マスク・ゴーグルの要否 |
| 9. 物理的化学的性質 | 引火点、pH、蒸気圧 | 引火点で火災リスク判断 |
| 10. 安定性及び反応性 | 混合危険物質 | 「混ぜるな危険」の具体的内容 |
| 11. 有害性情報 | 急性毒性、発がん性等 | 長期使用リスクの評価 |
| 12. 環境影響情報 | 水生生物への毒性 | 排水時の注意 |
| 13. 廃棄上の注意 | 適正な廃棄方法 | 自治体ルール+SDS推奨方法 |
| 14. 輸送上の注意 | 国連番号、容器規制 | 大量購入時の参考 |
| 15. 適用法令 | 該当する法律 | 規制の有無確認 |
| 16. その他の情報 | 参考文献、更新日 | 最新版かどうか確認 |
SDSの入手方法
1. メーカー公式サイト
- 多くの企業が製品ページにPDFで掲載
2. 化学物質総合情報サイト
- NITE-CHRIP(製品評価技術基盤機構): https://www.nite.go.jp/chem/chrip/
- 職場のあんぜんサイト(厚生労働省): https://anzeninfo.mhlw.go.jp/
3. 販売店への請求
- 業務用化学品購入時は販売店に依頼可能
GHS絵表示の読み方
化学物質の危険性を一目で理解するための国際統一マーク(Globally Harmonized System):
| 絵表示 | 意味 | 該当する製品例 |
|---|---|---|
| 炎 | 引火性物質 | パーツクリーナー、シンナー、ガソリン |
| 円上の炎 | 酸化性物質(燃焼促進) | 漂白剤、過酸化水素 |
| どくろ | 急性毒性 | 農薬、一部工業薬品 |
| 感嘆符 | 刺激性・有害性 | 洗剤、接着剤 |
| 腐食 | 金属腐食性・皮膚腐食性 | 塩酸、水酸化ナトリウム |
| 健康有害性 | 発がん性・生殖毒性・臓器毒性 | 一部溶剤、農薬 |
| 環境 | 水生環境有害性 | 農薬、界面活性剤 |
※絵表示が多いほど危険度が高いわけではありません。各表示が示す具体的なリスクを理解することが重要です。
化学物質による事故の多くは、基本的な注意を守れば防げます。以下の原則を日常的に実践しましょう。
原則1: SDSを確認する
製品を購入する前、初めて使用する前に、必ずSDSまたは製品ラベルを確認。「知らずに使う」が最大のリスクです。
該当法規: 労働安全衛生法(事業場)、化管法
原則2: ラベルを読む
製品の容器には、成分・用途・使用方法・注意事項が記載されています。使用前に必ず読む習慣をつけましょう。
家庭用品品質表示法: 洗剤・漂白剤等には成分表示義務
原則3: 適量を守る
「多く使えば効果的」は誤解です。過剰使用は、すすぎ残し・皮膚刺激・環境負荷につながります。
濃縮洗剤の使いすぎに注意: 従来品の半分以下の量で十分。
原則4: 換気を徹底する
揮発性有機化合物(VOC)を含む製品は、必ず換気しながら使用。密閉空間での使用は中毒リスク大。
- パーツクリーナー、溶剤系接着剤、マニキュア、油性ペン等
- 窓を開ける、換気扇を回す、屋外で使用
該当法規: 有機溶剤中毒予防規則(業務使用)
原則5: 混ぜない
化学反応は予測不能です。製品の混合は絶対に避ける。
「混ぜるな危険」の化学:
- 塩素系漂白剤(NaClO) + 酸性洗剤(HCl) → Cl₂(塩素ガス、猛毒)
- 2NaClO + 2HCl → Cl₂↑ + 2NaCl + H₂O
天然由来の酸(クエン酸、食酢)も反応します。
該当法規: 家庭用品品質表示法(表示義務)
原則6: 保護具を使う
肌に触れる、吸い込む、目に入る—これらのリスクを防ぐために適切な保護具を使用。
| 製品タイプ | 推奨保護具 |
|---|---|
| 強アルカリ/強酸(漂白剤、洗剤) | ゴム手袋、保護メガネ |
| 溶剤系製品(シンナー、パーツクリーナー) | 手袋、マスク(有機溶剤用)、保護メガネ |
| 粉塵(セメント、トナー) | 防塵マスク、手袋 |
| 農薬 | 長袖、手袋、マスク、保護メガネ |
原則7: 専用容器で保管
飲料ボトルへの移し替えは絶対禁止。誤飲事故の最大原因です。
- 灯油、洗剤、農薬等の移し替え事故多発
- 子供・高齢者は容器の区別がつきにくい
- 必ず元の容器、または専用容器で保管
- ラベルが剥がれたら新たに記載
該当法規: 消防法、毒物及び劇物取締法
原則8: 子供・ペットから遠ざける
特に危険な製品:
- 不凍液(エチレングリコール): 甘い味で誤飲多発、致死的
- タバコの吸殻水: ニコチン中毒
- ボタン電池: 誤飲で食道化学熱傷
原則9: 期限と劣化を確認
化学製品にも使用期限があります。
| 製品 | 保管期限目安 | 劣化のサイン |
|---|---|---|
| 次亜塩素酸ナトリウム | 未開封1年、開封後3ヶ月 | 塩素臭の減少、効果低下 |
| 化粧品 | 未開封3年、開封後3ヶ月〜1年 | 変色、分離、異臭 |
| 医薬品 | 箱記載の期限 | 変色、変形 |
| 接着剤 | 未開封1〜2年 | 固化、粘度変化 |
原則10: リスクと便益のバランスを考える
すべての化学物質には、用法・用量によってリスクとベネフィットがあります。
化学物質=危険、ではない:
- 塩も過剰摂取で高血圧
- 医薬品も副作用がある
重要なのは:
- ハザード(有害性): その物質が持つ潜在的危険性
- 暴露量: 実際にどれだけ体内に入るか
- リスク = ハザード × 暴露量
適切な使用量と方法を守れば、多くの化学製品は安全に使えます。
該当する主な法規制一覧
日本では、化学物質の製造・使用・廃棄に関して複数の法律で規制されています。
| 法律名 | 目的 | 規制対象 |
|---|---|---|
| 労働安全衛生法 | 労働者の安全と健康確保 | 事業場での化学物質取扱<br>SDS交付義務、作業環境測定 |
| 化審法(化学物質審査規制法) | 環境汚染防止 | 新規化学物質の製造・輸入<br>難分解性・生物濃縮性物質の規制 |
| 化管法(化学物質排出把握管理促進法) | 化学物質の自主管理促進 | 事業者による排出量届出<br>PRTR制度、SDS交付 |
| 毒物及び劇物取締法 | 毒物・劇物の適正管理 | 毒物(致死量が少ない)<br>劇物(比較的少量で有害) |
| 消防法 | 火災予防 | 危険物(引火性・爆発性物質)の貯蔵・取扱 |
| 薬機法<br>(医薬品医療機器等法) | 医薬品・化粧品の品質・安全性 | 化粧品、医薬部外品の製造・販売 |
| 食品衛生法 | 食品の安全性確保 | 食品添加物、残留農薬基準<br>食品用器具・容器包装 |
| 農薬取締法 | 農薬の適正使用 | 農薬の登録、使用基準 |
| 家庭用品品質表示法 | 消費者の適切な商品選択 | 洗剤・漂白剤等の成分・使用方法表示 |
| 廃棄物処理法 | 廃棄物の適正処理 | 産業廃棄物、特別管理産業廃棄物 |
製品ラベルやSDSに記載された法令を確認し、遵守しましょう。
洗浄剤・パーソナルケア製品
日常的に肌に触れる製品群です。適切な使用量と十分なすすぎが、安全使用の基本です。
衣類用洗剤・石けん
| 製品 | 主成分 | 化学式/構造 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 粉末洗剤 | 界面活性剤(LAS等)<br>炭酸ナトリウム<br>酵素 | C₁₂H₂₅-C₆H₄-SO₃Na<br>Na₂CO₃ | 洗浄力が高い<br>アルカリ性 | 溶け残りに注意<br>手荒れリスク |
| 液体洗剤 | 非イオン界面活性剤<br>陰イオン界面活性剤 | ポリオキシエチレンアルキルエーテル | すすぎやすい<br>中性〜弱アルカリ性 | 使いすぎ注意<br>泡が残りやすい |
| 粉石けん | 脂肪酸ナトリウム | C₁₇H₃₅COONa | 生分解性◎<br>天然油脂由来 | 硬水で洗浄力低下<br>金属石けん生成 |
| 柔軟剤 | 陽イオン界面活性剤 | ジアルキルジメチルアンモニウム塩 | 静電気防止<br>香り付け | 過剰使用で吸水性低下<br>香害の原因に |
該当法規: 家庭用品品質表示法、化審法(化学物質審査規制法)
SDSチェックポイント:
- 界面活性剤の種類と濃度
- 蛍光増白剤の有無(赤ちゃん衣類には不要)
- 酵素の種類(アレルギー体質の方は要確認)
シャンプー・ボディケア
| 製品 | 主成分 | 特徴 | 使用上の注意 |
|---|---|---|---|
| シャンプー | ラウレス硫酸Na<br>コカミドプロピルベタイン<br>シリコーン(ジメチコン) | 弱酸性でキューティクル保護<br>泡立ち良好 | すすぎ残しで頭皮トラブル<br>目に入った場合は即座に洗浄 |
| ボディソープ | 界面活性剤複数ブレンド<br>保湿剤(グリセリン) | 弱酸性が主流<br>肌バリア保護 | 固形石けんより洗浄力は穏やか<br>乾燥肌には保湿タイプ推奨 |
| 歯磨き粉 | リン酸水素Ca(研磨剤)<br>フッ化Na(NaF)<br>ラウリル硫酸Na | フッ素で虫歯予防<br>研磨で汚れ除去 | フッ素濃度1000〜1500ppm推奨<br>子供用は低濃度配合 |
| 入浴剤 | 硫酸ナトリウム<br>炭酸水素Na + クエン酸 | 温浴効果<br>炭酸ガス発生で血行促進 | 硫黄系は風呂釜を傷める<br>24時間風呂には使用不可 |
化学反応の例: 炭酸ガス発生
NaHCO₃ + C₆H₈O₇ → CO₂↑ + H₂O + Na₃C₆H₅O₇
該当法規: 医薬部外品(薬用表示がある場合)、化粧品(薬機法)
化粧品・スキンケア
スキンケア製品
| 製品 | 主要成分 | 化学式 | 機能 | リスク管理 |
|---|---|---|---|---|
| 化粧水 | 水、BG、グリセリンヒアルロン酸Na 防腐剤(パラベン) | C₄H₁₀O₂ C₃H₈O₃ | 保湿・pH調整 | 防腐剤アレルギーの方は要確認 開封後3ヶ月推奨 |
| 乳液・クリーム | スクワラン ステアリン酸グリセリル ワセリン | C₃₀H₅₀ | 油分補給 バリア機能強化 | 酸化防止剤確認 高温保管避ける |
| 日焼け止め | 酸化チタン(TiO₂)<br>酸化亜鉛(ZnO)<br>メトキシケイヒ酸エチルヘキシル | 散乱剤:物理防御<br>吸収剤:化学防御 | SPF・PA値で選択 ナノ粒子は現在安全性確認済み | こまめな塗り直し必須 海ではサンゴ礁への影響も考慮 |
該当法規: 医薬品医療機器等法(薬機法)、化粧品基準
メイクアップ製品
| 製品 | 顔料・基剤 | 化学組成 | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| ファンデーション | 酸化チタン(白色)<br>酸化鉄(肌色調整)<br>マイカ(ツヤ)<br>タルク(滑らか) | TiO₂、Fe₂O₃<br>KAl₂(AlSi₃O₁₀)(OH)₂<br>Mg₃Si₄O₁₀(OH)₂ | タルクはアスベスト混入リスクあり(国内品は検査済み)<br>古い製品は鉛含有の可能性 |
| 口紅 | 有機合成色素<br>カルナウバワックス<br>ワセリン | タール色素(赤○号等) | アレルギー体質の方はパッチテスト推奨<br>コチニール色素は昆虫由来 |
| マニキュア | ニトロセルロース<br>フタル酸エステル<br>酢酸エチル | 硝化綿<br>可塑剤<br>溶剤 | 換気必須(VOC放出)<br>妊婦はフタル酸フリー製品推奨 |
パーマ液・ヘアカラーの化学:
- パーマ1剤: チオグリコール酸(HSCH₂COOH)がシスチン結合(-S-S-)を切断
- パーマ2剤: 臭素酸ナトリウム(NaBrO₃)で再結合
- ヘアカラー: パラフェニレンジアミン+過酸化水素で酸化発色
重要: パラフェニレンジアミンはアレルギー性接触皮膚炎の原因物質。必ずパッチテスト実施。
該当法規: 薬機法、毒物及び劇物取締法(一部成分)
工業用・メンテナンス用品
※この分野の製品は必ずSDSを確認してから使用してください
洗浄・潤滑剤
| 製品名 | 主成分 | 用途 | 危険性 | 必須保護具 |
|---|---|---|---|---|
| パーツクリーナー | n-ヘキサン(C₆H₁₄)<br>石油系溶剤<br>LPG(噴射剤) | 機械部品の脱脂 | 【第四類危険物】<br>極めて引火しやすい<br>吸入で神経障害 | 保護メガネ<br>手袋<br>屋外使用 |
| KURE 5-56 | 鉱物油<br>石油系溶剤<br>防錆剤 | 潤滑・防錆・浸透 | 引火性<br>ゴム・プラ劣化 | 火気厳禁<br>換気 |
| リチウムグリース | 鉱物油+リチウム石鹸 | 高負荷部の潤滑 | 皮膚刺激(弱) | 手袋推奨 |
| CRC(錆取り) | リン酸(H₃PO₄)<br>有機酸 | 錆の化学的溶解 | 酸性・腐食性<br>皮膚・目刺激 | ゴーグル<br>ゴム手袋 |
化学反応: Fe₂O₃(錆)+ H₃PO₄ → FePO₄(リン酸鉄被膜、防錆)
該当法規: 消防法(危険物第四類)、労働安全衛生法
緊急時対応:
- パーツクリーナー吸入 → 新鮮な空気の場所へ移動、意識確認、救急要請
- 眼に入った場合 → 15分以上流水で洗浄、コンタクトは外す
不凍液
| 種類 | 主成分 | 化学式 | 用途 | 致死量 |
|---|---|---|---|---|
| エチレングリコール系 | エチレングリコール | HOCH₂CH₂OH | 自動車冷却水<br>凝固点-30℃ | 成人50〜100mL<br>甘い味で誤飲多発 |
| プロピレングリコール系 | プロピレングリコール | CH₃CHOHCH₂OH | 食品工場<br>病院設備 | LD₅₀ 20g/kg(低毒性) |
中毒症状: 吐き気→意識障害→腎不全(シュウ酸カルシウム結晶)
安全管理:
- 飲料ボトルでの保管厳禁(専用容器のみ)
- 子供・ペットの手の届かない場所に施錠保管
- こぼれた場合は即座に拭き取り、換気
- 交換廃液は産業廃棄物として処理(下水禁止)
該当法規: 毒物及び劇物取締法(特定劇物指定なし、ただし管理必要)
接着剤・塗料・筆記具
接着剤比較表
| タイプ | 主成分 | 硬化機序 | 適材 | 危険性 |
|---|---|---|---|---|
| 木工用ボンド | ポリ酢酸ビニル<br>(C₄H₆O₂)ₙ | 水分蒸発 | 木材・紙・布 | 安全性◎<br>食べても低毒性 |
| 瞬間接着剤 | シアノアクリレート<br>CH₂=C(CN)COOCH₃ | 空気中の水分と重合 | 金属・プラ・ゴム | 皮膚瞬間接着<br>蒸気刺激<br>綿と反応で発熱 |
| エポキシ | エポキシ樹脂+硬化剤 | 化学反応(2液混合) | 金属・ガラス・コンクリ | アレルギー性接触皮膚炎<br>皮膚感作性 |
| ゴム系(溶剤型) | ゴム+トルエン<br>C₇H₈ | 溶剤蒸発 | 靴・皮革 | 【劇物指定】<br>シンナー中毒<br>引火性 |
トルエン中毒: 幻覚・中枢神経障害・肝腎障害
規制: 青少年への販売禁止(毒物及び劇物取締法、各自治体条例)
該当法規: 毒物及び劇物取締法、有機溶剤中毒予防規則(業務使用時)
塗料・絵の具
| 分類 | バインダー/溶剤 | 顔料例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 水彩絵の具 | アラビアゴム+水 | 酸化チタン(白)<br>群青(ウルトラマリン)<br>カドミウムイエロー※ | ※古い絵の具は鉛・カドミウム含有<br>子供用はSTマーク確認 |
| 油絵の具 | アマニ油(乾性油) | 同上 | 酸化重合で硬化<br>油ぼろの自然発火注意<br>溶剤(テレピン)は換気必須 |
| アクリル絵の具 | アクリル樹脂 | 同上 | 水溶性だが乾燥後耐水<br>速乾性 |
自然発火メカニズム: 乾性油の酸化反応は発熱反応。油を含んだ布を丸めて放置すると熱がこもり、発火温度に達する。
該当法規: 化審法、家庭用品品質表示法
筆記具・修正液
| 製品 | 溶剤/成分 | 規制状況 | 安全な使い方 |
|---|---|---|---|
| 油性マーカー | キシレン(C₈H₁₀)<br>アルコール類 | トルエン含有品は規制強化 | 換気<br>長時間使用避ける |
| 修正液 | 酢酸エチル<br>TiO₂(白色顔料) | 1,1,1-トリクロロエタンは使用禁止 | 修正テープ推奨(溶剤不使用) |
| プリンタトナー | ポリエステル樹脂<br>カーボンブラック | 微粒子(PM2.5相当) | カートリッジ交換時換気<br>粉塵吸入避ける |
該当法規: 有機溶剤中毒予防規則(業務使用)、化審法
殺虫剤・農薬
家庭用殺虫剤
| 成分 | 化学式 | 作用機序 | 対象 | 人体への影響 |
|---|---|---|---|---|
| ピレスロイド | ペルメトリン<br>C₂₁H₂₀Cl₂O₂ | 昆虫の神経伝達阻害 | 蚊・ゴキブリ・ダニ | 哺乳類は代謝速い(比較的安全)<br>魚類・両生類には猛毒 |
| パラジクロロベンゼン | C₆H₄Cl₂ | 昇華性、忌避作用 | 衣類の防虫 | 長期吸入で肝腎障害<br>発がん性の疑い(動物実験) |
| フィプロニル | GABA受容体阻害 | アリ・ゴキブリ | 神経毒性<br>蜜蜂への影響大 |
安全使用:
- 室内使用後は必ず換気(30分以上)
- ペット(特に魚・爬虫類)から遠ざける
- 食品・食器にかからないよう注意
- 子供・妊婦がいる家庭では使用量を最小限に
農薬
| 農薬名 | 化学式 | 用途 | 論争点 | 使用規制 |
|---|---|---|---|---|
| グリホサート | C₃H₈NO₅P | 除草剤<br>(ラウンドアップ等) | IARC「発がん性の可能性」vs 各国規制当局「安全」 | 使用基準遵守<br>散布後の侵入制限期間 |
| ネオニコチノイド | イミダクロプリド等 | 殺虫剤 | ミツバチ大量死との関連疑い | EU一部使用禁止<br>日本は基準内使用許可 |
残留農薬基準: 厚生労働省が食品ごとに設定(ADI:一日摂取許容量に基づく)
該当法規: 農薬取締法、食品衛生法、毒物及び劇物取締法
プラスチック・建材
プラスチック完全分類表
プラスチックは性能によって3つのグレードに分類されます。
汎用プラスチック(日用品向け、大量生産)
| 識別 | 材質名 | 構造式 | 特徴 | 主な用途 | 環境問題 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 PET | ポリエチレンテレフタラート | (C₁₀H₈O₄)ₙ | 透明性◎<br>ガスバリア性◎ | ペットボトル<br>衣類繊維 | リサイクル◎<br>マイクロプラ化 |
| 2 HDPE | 高密度ポリエチレン | (C₂H₄)ₙ | 硬い<br>耐薬品性◎ | 洗剤ボトル<br>灯油缶 | リサイクル◎ |
| 4 LDPE | 低密度ポリエチレン | (C₂H₄)ₙ | 柔軟性◎<br>耐水性◎ | レジ袋<br>ラップフィルム | 海洋汚染深刻 |
| 5 PP | ポリプロピレン | (C₃H₆)ₙ | 耐熱性◎(〜140℃)<br>耐薬品性◎ | 食品容器<br>電子レンジ容器<br>自動車部品 | 焼却時CO₂排出 |
| 6 PS | ポリスチレン | (C₈H₈)ₙ | 透明性◎<br>加工容易 | 食品トレー<br>CDケース<br>発泡スチロール | リサイクル困難<br>スチレン溶出懸念 |
| 3 PVC | ポリ塩化ビニル | (C₂H₃Cl)ₙ | 耐久性◎<br>難燃性 | 水道管<br>電線被覆<br>クレジットカード | 燃焼でダイオキシン<br>可塑剤(フタル酸)溶出 |
| ABS | アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン | 共重合体 | 衝撃強度◎<br>加工性◎ | 家電外装<br>自動車部品<br>LEGOブロック | 耐候性△<br>紫外線で劣化 |
エンジニアリングプラスチック(機械部品向け、高性能)
| 材質名(略号) | 構造の特徴 | 特性 | 主な用途 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| ポリアミド(PA)<br>ナイロン6, ナイロン66 | アミド結合(-CONH-)による水素結合 | 耐摩耗性◎◎<br>引張強度◎<br>吸湿性あり | 機械部品(ギア、ベアリング)<br>繊維(衣類、ロープ)<br>釣り糸 | 汎用の2〜5倍 |
| ポリカーボネート(PC) | カーボネート結合<br>ビスフェノールA骨格 | 耐衝撃性◎◎◎<br>透明性◎<br>耐熱性(〜140℃) | 光学レンズ<br>防弾ガラス<br>スマホケース<br>CD/DVD基板 | 汎用の3〜6倍 |
| ポリアセタール(POM) | -C-O-C-結合の繰り返し | 耐摩耗性◎◎<br>寸法安定性◎◎ | 精密ギア<br>ファスナー<br>ボールペン機構 | 汎用の3〜5倍 |
| 変性PPE<br>(ポリフェニレンエーテル) | 芳香族エーテル | 耐熱性◎<br>電気絶縁性◎ | 電子機器筐体<br>自動車内装 | 汎用の4〜7倍 |
| ポリブチレンテレフタラート(PBT) | PETの改良版 | 耐熱性◎<br>電気絶縁性◎ | 電気コネクタ<br>自動車電装部品 | 汎用の3〜5倍 |
ビスフェノールA(BPA)問題: PCの原料。内分泌攪乱物質の疑いで、乳幼児用品では使用規制。現在はBPAフリー製品が主流。
スーパーエンジニアリングプラスチック(過酷環境向け、超高性能)
| 材質名(略号) | 構造の特徴 | 驚異的な特性 | 用途(特殊分野) | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| PEEK<br>ポリエーテルエーテルケトン | 芳香族ケトン構造 | 耐熱性◎◎◎(連続使用260℃)<br>耐薬品性◎◎◎<br>強度◎◎ | 航空宇宙部品<br>医療インプラント<br>半導体製造装置 | 汎用の50〜100倍 |
| PTFE(テフロン)<br>ポリテトラフルオロエチレン | -CF₂-CF₂-の繰り返し<br>フッ素で覆われた構造 | 非粘着性◎◎◎<br>耐薬品性◎◎◎<br>摩擦係数最小 | フライパンコーティング<br>化学薬品配管<br>人工血管 | 汎用の20〜50倍 |
| PPS<br>ポリフェニレンサルファイド | 芳香族+硫黄結合 | 耐熱性◎◎(連続使用200℃)<br>難燃性◎◎ | 自動車エンジン周辺<br>電気部品 | 汎用の30〜60倍 |
| ポリイミド(PI) | イミド環構造 | 耐熱性◎◎◎(連続使用300℃)<br>電気絶縁性◎◎ | フレキシブル基板<br>宇宙服素材 | 汎用の100倍以上 |
| 液晶ポリマー(LCP) | 分子が液晶配列 | 寸法精度◎◎◎<br>薄肉成形可能 | スマホ内部アンテナ<br>医療カテーテル | 汎用の40〜80倍 |
該当法規: 化審法、廃棄物処理法、容器包装リサイクル法、食品衛生法(食品接触材)
マイクロプラスチック: 5mm以下のプラスチック片。洗濯(合成繊維)や摩耗で発生、海洋生物が誤食し食物連鎖に蓄積。2024年WHO報告では人体への影響はまだ不明だが、研究継続中。
金属材料:用途別分類
金属は使用環境と求められる性能で選択されます。
構造用金属(建築・土木・機械の骨格)
| 金属 | 化学記号 | 特性 | 主な用途 | 腐食と対策 |
|---|---|---|---|---|
| 鉄鋼(炭素鋼) | Fe + C(0.02〜2%) | 強度◎<br>安価◎ | 建築鉄骨<br>橋梁<br>自動車ボディ | 錆びやすい<br>4Fe + 3O₂ → 2Fe₂O₃<br>対策:塗装、メッキ |
| ステンレス鋼 | Fe + Cr(10〜20%)+ Ni | 耐食性◎◎<br>強度◎ | キッチンシンク<br>医療器具<br>建築外装 | 不動態皮膜で保護<br>塩分で孔食発生に注意 |
| アルミニウム合金 | Al + Mg/Si/Cu | 軽量◎◎<br>加工性◎ | 航空機<br>飲料缶<br>サッシ | 酸化皮膜(Al₂O₃)で自己保護<br>強酸・強アルカリに弱い |
| チタン合金 | Ti + Al/V | 軽量◎<br>耐食性◎◎◎<br>生体適合性◎ | 航空宇宙<br>医療インプラント<br>高級腕時計 | ほぼ錆びない<br>加工困難で高価 |
電気・電子用金属(導電性・放熱性)
| 金属 | 電気伝導率 | 主な用途 | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| 銅(Cu) | 100%(基準) | 電線<br>配管<br>PC基板 | 緑青(Cu₂CO₃(OH)₂)は無毒<br>抗菌作用あり |
| 銀(Ag) | 106% | 高級電線<br>電気接点 | 最高の導電率<br>高価 |
| 金(Au) | 70% | 電子部品<br>コネクタ | 錆びない◎<br>接点信頼性◎ |
| アルミニウム | 61% | 送電線<br>放熱板 | 軽量で安価<br>銅より太い線が必要 |
機能性金属(特殊用途)
| 金属 | 化学記号 | 特殊機能 | 用途 | リスク |
|---|---|---|---|---|
| 鉛(Pb) | Pb | 重い<br>放射線遮蔽 | 放射線防護エプロン<br>蓄電池(鉛バッテリー) | 有毒<br>神経毒性<br>使用規制強化 |
| 水銀(Hg) | Hg | 常温で液体<br>電気伝導性 | 蛍光灯(微量)<br>体温計(旧型) | 猛毒<br>水俣病の原因<br>現在は使用禁止多数 |
| タングステン(W) | W | 融点最高(3422℃) | 電球フィラメント<br>切削工具 | 加工困難 |
| コバルト(Co) | Co | 磁性◎<br>耐熱性◎ | リチウムイオン電池<br>超合金(ジェットエンジン) | 希少金属<br>採掘に人権問題 |
| ニッケル(Ni) | Ni | 耐食性◎<br>磁性 | メッキ<br>ステンレス添加元素 | 金属アレルギーの主原因 |
貴金属・装飾用金属
| 金属 | 特性 | 用途 | 純度表示 |
|---|---|---|---|
| 金(Au) | 変色しない<br>展延性◎ | 宝飾品<br>歯科材料 | 24K(純金)、18K(75%)、14K(58%) |
| 銀(Ag) | 光沢◎<br>加工性◎ | 食器<br>宝飾品 | 925(スターリングシルバー、92.5%) |
| 白金(Pt) | 化学的安定性◎◎ | 宝飾品<br>触媒(自動車排ガス) | Pt950(95%)、Pt900(90%) |
合金
合金は複数の金属を混ぜて性能を向上させた材料です。
| 合金名 | 組成 | 特性向上 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 真鍮(黄銅) | Cu(60〜70%)+ Zn | 加工性◎<br>金色光沢 | 金管楽器<br>仏具<br>5円玉 |
| 青銅(ブロンズ) | Cu(90%)+ Sn(10%) | 強度◎<br>耐食性◎ | 銅像<br>10円玉 |
| ジュラルミン | Al + Cu + Mg | 軽量+高強度 | 航空機 |
| はんだ | Sn + Pb(従来)<br>Sn + Ag + Cu(鉛フリー) | 低融点(融接) | 電子基板 |
該当法規: 金属材料規格(JIS)、建築基準法、RoHS指令(鉛・水銀等の規制)
建材
| 材料 | 化学組成 | 用途 | リスク |
|---|---|---|---|
| 陶器 | カオリナイト Al₂Si₂O₅(OH)₄<br>長石 KAlSi₃O₈ | 食器 | 古い釉薬は鉛溶出の可能性 |
| ガラス | SiO₂+Na₂O+CaO | 窓・容器 | 非晶質固体<br>化学的安定性◎ |
| セメント | 3CaO·SiO₂<br>2CaO·SiO₂ | コンクリート | 強アルカリ(pH12)<br>六価クロムでアレルギー性皮膚炎 |
水和反応: セメント+水 → ケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)→ 硬化
該当法規: 建築基準法、食品衛生法(食器)
室内空気汚染物質(VOC・ホルムアルデヒド・ラドン)
見えない、においがわからない—だからこそ注意が必要な室内化学物質です。
ホルムアルデヒド
化学式: CH₂O(HCHO)
特性:
- 無色の気体
- 刺激臭(わずかに甘酸っぱい臭い)
- 常温で揮発性が非常に高い(VVOC:超揮発性有機化合物)
- 水溶液(37%)はホルマリンと呼ばれる
発生源
| 場所・製品 | 含有理由 | 放散期間 |
|---|---|---|
| 合板・パーティクルボード | 接着剤(ユリア系、メラミン系、フェノール系樹脂) | 10年以上継続 |
| 壁紙用接着剤 | 防腐剤として添加 | 数年 |
| 新しい家具 | 表面材の接着剤 | 1〜3年 |
| フローリング | 接着剤・塗料 | 5〜10年 |
| 繊維製品(カーテン・カーペット) | 防縮・防しわ加工 | 洗濯で減少 |
| タバコの煙 | 燃焼生成物 | 喫煙時 |
| 暖房器具の不完全燃焼 | 燃焼生成物 | 使用時 |
健康への影響
| 濃度 | 症状 |
|---|---|
| 0.08ppm(厚労省指針値) | 長期暴露の安全基準 |
| 0.1〜0.5ppm | 目・鼻・喉の刺激、涙、くしゃみ |
| 0.5〜1.0ppm | 咳、吐き気、頭痛 |
| 1.0ppm以上 | 呼吸困難、皮膚炎 |
| 長期高濃度暴露 | 鼻咽頭がん(IARC: グループ1発がん性物質)<br>喘息、化学物質過敏症 |
シックハウス症候群との関係: ホルムアルデヒドは目や鼻、喉の粘膜を刺激し、シックハウス症候群の原因となる代表的な物質です。
規制と対策
| 規制 | 内容 |
|---|---|
| 建築基準法改正(2003年) | ホルムアルデヒド発散建材の使用制限<br>換気設備設置義務<br>室内濃度基準: 0.1mg/m³(0.08ppm)以下 |
| F☆☆☆☆(エフ・フォースター) | JIS・JAS規格の最高等級<br>発散量が最も少ない建材(使用面積制限なし) |
| 家庭用品規制法 | 繊維製品: 75ppm以下<br>乳幼児用(24ヶ月以下): 16ppm以下 |
該当法規: 建築基準法、家庭用品規制法、労働安全衛生法
VOC(揮発性有機化合物)
定義: 常温で揮発しやすい有機化合物の総称(100種類以上)
代表的なVOC一覧
| 物質名 | 化学式 | 主な発生源 | 健康影響 | 厚労省指針値 |
|---|---|---|---|---|
| トルエン | C₇H₈ | 塗料、接着剤、マニキュア、シンナー | 中枢神経抑制、頭痛、めまい | 0.07ppm |
| キシレン | C₈H₁₀ | 塗料、接着剤、ガソリン | 頭痛、めまい、吐き気 | 0.20ppm |
| エチルベンゼン | C₈H₁₀ | 塗料、接着剤 | 目・鼻の刺激、肝腎障害 | 0.88ppm |
| スチレン | C₈H₈ | ポリスチレン断熱材、FRP浴槽 | 中枢神経抑制、粘膜刺激 | 0.05ppm |
| パラジクロロベンゼン | C₆H₄Cl₂ | 防虫剤、芳香剤 | 肝腎障害、発がん性の疑い | 0.04ppm |
| テトラデカン | C₁₄H₃₀ | 灯油、塗料 | 化学物質過敏症の原因に | 0.04ppm |
| フタル酸ジ-2-エチルヘキシル | C₂₄H₃₈O₄ | 壁紙・床材の可塑剤 | 内分泌攪乱、生殖毒性 | 0.12ppm |
複合的な健康影響: VOCのほとんどが神経に異常をきたす物質であり、目、皮膚、粘膜から吸収される特性があります。
対策:
- 新築・リフォーム後は数ヶ月間、毎日換気
- 低VOC塗料・接着剤の選択
- 家具購入後は屋外で「ガス抜き」してから搬入
- 芳香剤・防虫剤の過剰使用を避ける
該当法規: 建築基準法、大気汚染防止法、化管法
その他の注意すべき化学物質
内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)
ホルモンの働きを乱す化学物質の総称。約70種類がリストアップされています。
| 物質名 | 主な用途 | 懸念される影響 |
|---|---|---|
| ビスフェノールA(BPA) | ポリカーボネート樹脂<br>エポキシ樹脂の原料 | エストロゲン様作用<br>生殖機能への影響 |
| フタル酸エステル類 | PVC製品の可塑剤 | 生殖毒性<br>精子数減少 |
| ノニルフェノール | 界面活性剤 | 女性ホルモン様作用 |
| DDT、PCB | 旧農薬・絶縁油(現在禁止) | 生物濃縮<br>発がん性 |
対策:
- 乳幼児用製品はBPAフリー製品を選択
- プラスチック容器の電子レンジ加熱を避ける
- フタル酸フリーの製品を選ぶ
アスベスト(石綿)
化学組成: 天然の鉱物繊維(ケイ酸塩鉱物)
特徴:
- 耐熱性・耐薬品性・絶縁性に優れる
- 極めて細い繊維(髪の毛の1/5000)
使用歴:
- 建材(スレート屋根、外壁材、断熱材): 2006年全面禁止
- ブレーキパッド、ガスケット: 現在は代替品
健康被害:
- 潜伏期間20〜50年
- 肺がん、悪性中皮腫、石綿肺
注意: 2006年以前の建物の解体・リフォーム時は専門業者に依頼必須。自分で壊さない。
該当法規: 石綿障害予防規則、大気汚染防止法、廃棄物処理法
まとめ:知識は最良の防御
化学物質は現代生活に不可欠です。問題は「使うか使わないか」ではなく、「どう使うか」です。
本記事で紹介した化学物質の性質、SDSの見方、10の原則を実践することで、あなたと家族を化学物質による事故から守ることができます。
今日からできる3つのアクション:
- 家にある化学製品のラベルを読む
- よく使う製品のSDSをメーカーサイトで確認し、保存する
- 「混ぜるな危険」の製品を確認し、保管場所を離す
化学の知識は、恐怖ではなく安心をもたらします。正しく理解し、賢く使いましょう。
参考リンク:
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の化学製品の使用を推奨・非推奨するものではありません。実際の使用にあたっては、必ず製品のラベル・SDSを確認し、メーカーの指示に従ってください。緊急時は専門機関(119番、中毒情報センター等)にご相談ください。
界面活性剤と洗剤の科学
水と油は本来混ざり合いません。この「混ざらない」という性質こそが、汚れが落ちにくい根本原因です。界面活性剤は、一つの分子の中に水になじむ部分(親水基)と油になじむ部分(疎水基)を同時にもつ、いわば“橋渡し役”の分子です。
疎水基が油汚れに結合し、親水基が水側を向くことで、汚れはミセルという集合体に包まれます。こうして油は水中に分散され、物理的に洗い流せる状態になります。洗剤の本質は「汚れを消す」ことではなく、「移動可能な形に変える」ことにあります。
社会人にとって重要なのは、洗浄力だけでなく用途適合性、肌への影響、すすぎ残り、排水への影響まで含めて製品を選ぶ視点です。濃縮洗剤の過剰使用や柔軟剤の多用は、香害や吸水性低下など別の問題を引き起こします。
石鹸と合成洗剤は、どちらも界面活性剤ですが設計思想が異なります。石鹸は天然油脂由来で生分解性が高い一方、硬水では金属石鹸が生成して洗浄力が落ちます。合成洗剤は水質に左右されにくく、低温でも安定した性能を発揮するよう分子設計されています。
アルコール消毒の正しい知識
アルコール(エタノール)は、細菌の細胞膜やウイルスのエンベロープといった脂質構造を破壊し、内部のタンパク質を変性させます。この二重作用により消毒効果が発揮されます。
最適濃度は70〜80%です。100%に近いと蒸発が早く、内部まで浸透しにくくなります。アルコールは万能ではなく、ノロウイルスや芽胞菌には効果が限定的です。引火性や手荒れ、誤飲リスクといった安全面も含め、用途と限界を理解した使用が求められます。
次亜塩素酸製品の安全な使い方
次亜塩素酸ナトリウムは強力な酸化剤で、殺菌と漂白の両方に作用します。一方で強アルカリ性であり、皮膚や金属への影響が大きい物質です。次亜塩素酸水とは性質も用途も異なるため、混同は危険です。
家庭での自己流希釈は濃度管理が難しく、事故の原因になります。必ず専用製品を用い、換気・手袋・保管条件といった基本を守ることが重要です。
「混ぜるな危険」と家庭内化学事故
塩素系製品と酸性製品が反応すると、塩素ガスという猛毒が発生します。これは単なる注意喚起ではなく、化学反応そのものの結果です。天然由来の酸(食酢やクエン酸)でも同じ反応が起きます。
金属の腐食と住環境
錆は金属が酸素と水と反応する酸化反応です。防ぐ方法は、反応物を遮断する、別の金属に先に反応させる(犠牲防食)、合金化して反応しにくくする、の三系統に整理できます。
ステンレスは錆びない金属ではなく、錆びにくい設計が施された材料です。環境条件次第では腐食が起こるため、過信せず管理する視点が必要です。
高分子材料と生活製品
高分子は、小さな分子が鎖状につながった巨大分子です。結合の仕方や鎖の絡まり具合によって、柔らかさも硬さも自在に設計できます。衣料、医療、建材に至るまで、高分子は現代生活の基盤材料です。生分解性やバイオマスといった新技術も、万能ではなく条件付きで成立する点を理解する必要があります。
プラスチックと環境問題
プラスチックは軽量で耐久性が高い一方、分解されにくいという特性を持ちます。マイクロプラスチックは、使用と廃棄の結果として生じる“設計外の副産物”です。

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