科学を信じる国、そうでない国 ― 世界は科学とどう向き合っているか」

この記事は約5分で読めます。

日本は中学生の学力テストでは世界上位に位置する一方、大人の科学への関心や信頼は国際的に見ると高いとは言えない。では、これは日本特有の現象なのだろうか。本稿では、中東・アジア・中央アジア・アフリカ・南米といった経済規模の大きくない地域に注目し、科学への関心や信頼が高い国・低い国を国際調査データから整理する。そこから見えてくるのは、経済力ではなく、教育のあり方、社会課題との距離感、そして「科学を誰のものと捉えているか」という文化的違いである。


中学生における評価

学力 は 世界の上位

  • OECDのPISA 2022(15歳対象)では、科学的リテラシーで日本は世界2位という高い順位(科学・数学・読解力全般でも上位)(朝日新聞)。
    → これは中学生レベル(15歳)のテストでの評価で、日本の生徒は世界的に高い
  • TIMSS2023でも中2の理科が世界3位/数学が4位など高順位を維持(Nippon)。

生徒の科学への関心・意欲は低い

複数の調査で、日本の生徒は

  • 科学や理科が「将来役に立つ」と感じる割合が低い
  • 科学的職業に就きたい割合が低い
  • 科学への主体的興味・関心・探究心が比較的低いという傾向が指摘されている(京文)。
  • 「社会に出たら理科は必要ない」と答える高校生が多く(45.9%)他国より高い割合に留まった(京文)
  • 科学学習は受動的(授業中心)で、主体的な探究・体験型学習が少ないという分析結果もある(二叶市役所)。

大人の評価(国際比較)

科学的関心は相対的に低め

Pew Research Centerなど国際調査では:

  • 日本の大人は「科学に関する政府投資は価値がある」と答える割合は高いものの、
  • 「科学の世界的リーダーであることが非常に重要」とする割合は、複数国平均より低い(34%)と報告されています(Pew Research Center)。

つまり:
✔ 定量的な科学成果・教育成果は高いものの
✔ 科学の重要性・社会参加という面で他国と比べて意欲が弱い傾向が見られます(Pew Research Center)。


なぜ「科学への関心」に差が出るのか

要因高い国低い国
教育制度探究型・ディスカッション型教育が普及、評価される知識重視・受験重視が中心になりやすい
社会文化科学的議論が社会の主要トピックに上る科学は専門家任せとされる傾向が強い
政策・産業科学技術が経済成長戦略と直結、期待が高い生活・経済課題の優先度が科学より高い場合
メディア科学ニュースが社会課題と結びついて報じられる科学が一般ニュースになりにくい
国民性個人の探求心・議論文化が強い集団・専門家信頼型文化が比較的強い

日本

  • 国際調査では「政府の科学投資を価値あるものと捉える割合は高い」一方、科学を世界的にリードすることを非常に重要とする割合は他国より低いという傾向がある。
  • 若い世代・一般国民の科学の活用や社会参加意識が高い国に比べると、深く関与したいとの強い意識が相対的に薄いとみられる調査もある。
  • 科学ニュースへの興味やデジタル技術活用意欲が他国に比べて低いという調査結果もある。

【理由の分析】

  • 教育の特徴
    基礎知識は堅牢でも、探究・主体的学びが相対的に少ないとの評価があり、興味を「能動的に伸ばす教育文化」が弱い側面が指摘されている。
  • 社会文化
    専門家に任せる傾向が強く、個人の社会参加として科学を自分ごと化する機会が少ない可能性。
  • メディア・報道
    科学ニュースの扱いが政策・社会問題と結びついて報じられにくい面などがある。

① 学校教育は「知識の習得」

日本の学校教育は基礎知識・学習内容の定着に力を入れており、テスト成績の高さに結びついています。

一方で以下の傾向が指摘されています:

  • 体験的・探究的学習機会が他国より少ない
  • 受け身型の授業が多い
    → 生徒の主体的な興味を育てる教育文化が相対的に弱い可能性がある(二叶市役所)。

② 社会的価値観とキャリア選択

  • 生徒・大人ともに「科学的職業や基礎科学研究への関心が低い」という傾向が日本では強く見られます。
    → 理系志望率が他国より低く、「科学は役に立たない」と考える割合が高いという意識調査結果もあります(京文)。

③ 公共理解・文化的背景

海外の研究では、国民の科学への関心や信頼感は文化的要素や情報環境にも左右されます:

  • 日本の大人は科学・技術の重要性をある程度評価しつつも、
  • 国を牽引する科学への強い誇りや参加意識は海外より低いという調査があります(Pew Research Center)。

これは、文化的に「専門家に任せる傾向」「極端な主観的評価を避ける回答傾向」などが影響しているとする学術的分析もあります(JCOM)。


興味・関心が高い国と低い国で何が違うか

比較すると、科学への興味や関心が高い国では:

✔ 教育の特色

  • 探究・プロジェクト型学習が盛ん
  • 科学フェスティバルや科学コミュニケーション(一般参加型)が活発

✔ 社会文化

  • 科学の成果や技術が身近で社会への影響が強いことが広く認識されている
  • 科学政策(科学への投資、議論)が公共生活の一部として扱われる比率が高い

✔ メディアと情報環境

  • 科学ジャーナリズムや科学情報へのアクセスが多い
  • 科学ニュースが社会課題と結びついて報道されるケースが多い

(こうした要素は国によって重みが異なりますが、科学への関心度形成に関与する要因として国際調査で取り上げられています)(Pew Research Center)。


まとめ:日本の現状と課題

項目日本の傾向
中学生の科学リテラシー世界上位 — PISA・TIMSSで高得点 (朝日新聞)
生徒の科学への興味・関心教科としての興味は限定的 — 主体性が課題 (二叶市役所)
大人の科学への関心国際的に相対的に低い — 科学的リーダーシップへの関心が低め (Pew Research Center)
課題主体的探究・社会参加意識の育成、教育方法の多様化、科学コミュニケーション強化

中学生は学力は高くても、興味・応用・探究意欲を育てる教育文化はまだ課題です。また、大人も科学の社会的意義を「自分ごと」として捉える機会が相対的に限られている点が、国全体としての科学的関心の差につながっています。



コメント

タイトルとURLをコピーしました