日本は現在、少子高齢化が急速に進行している。この人口構造の変化は教育に対する社会的責任を一層大きなものにしている。
少子化対策の推進には子育て、教育、仕事と各段階に応じた支援に加え、社会全体で行動し、推進していく必要がある。経済規模が縮小すれば、社会保障、防衛、治安、国土保全、教育等の社会インフラのための支出が困難になる可能性があり、限られた人的資源の中で一人当たりの知識と能力を最大限に高めることが喫緊の課題となっている。
AIのフェイク情報に負けない教育の重要性
デジタル時代において、フェイク情報への対応は教育の重要課題である。総務省の2020年の調査によると、15〜19歳の若者の約83%が誤情報を見分けられず、そのうち約45%が無自覚に拡散してしまうという深刻な実態が明らかになっている。
生成AIの普及などで、フェイクニュースを見分けることは格段に難しくなった。このような状況において、情報を批判的に読み解く力を育成する取り組みが進められている。
個別最適化学習による個人の伸長に合わせた教育
少子高齢化による人口減少の中で、一人ひとりの能力を最大限に伸ばすためには、個別最適化された教育が不可欠である。アダプティブラーニング(Adaptive Learning)とは、教育ビッグデータやAI技術を駆使して、1人ひとりの能力や習熟度に応じて個別最適化された学習を行う方法であり、文部科学省も積極的に推進している。
文部科学省では「誰一人取り残すことない学び」を掲げており、特別支援を必要とする生徒を含めた全生徒の学習レベル向上を目指す。アダプティブラーニングは固定されたカリキュラムに学習者が合わせるのではなく、学習者1人ひとりにオーダーメイドの学習プログラムを提供することで、無駄を省き効率的な学習を実現する。
各生徒の理解度や進捗に合わせて学習内容が最適化されることで、習得が早い生徒は先に進み、より深い学びを追求できる。つまり、「ギフテッド(才能のある子ども)」も早期に社会で活躍させるという考え方も今後大事になるのである。
コメント