戦前に日本はどのような教育制度を作ってきたのだろうか

戦前の教育制度

戦前の教育制度は「複線型」と呼ばれ、性別・進路・社会階層によって異なる学校体系が用意されていました。

この制度では、小学校卒業後の進路によって、その後の教育機会が大きく制限される構造となっていました。

1886年の帝国大学令により、東京大学が帝国大学に改組されました。帝国大学令第一条では「帝国大学ハ国家ノ須要ニ応スル学術技芸ヲ教授シ及其蘊奥ヲ攻究スルヲ以テ目的トス」と規定され、国家の必要に応じた教育研究を行う機関として位置づけられました。

高等学校令では「男子の高等普通教育を完成する機関」と定義され、

中学校4年修了程度を対象とする高等科（3年制）を中心とする機関でした。

全国で約39校が設置され、1学年の定員と帝国大学のそれとはほぼ1対1で、

高等学校を卒業すればが、どかの帝国大学に無試験で入学できました。

高等学校では一般教養を教え、大学教養課程に相当する教育を行いました。

1903年の専門学校令により、

中学校卒業者に職業教育を施す教育機関として専門学校が認可されました。

専門学校は以下のような種類がありました：

戦前から存在する私立大学の多くは専門学校からスタート

1920年の大学令により、慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学などが認可されました。

1886年の師範学校令により、師範学校は尋常・高等の二段階に分けられました。

尋常師範学校は小学校教員の養成に当たり各府県に一校設置

高等師範学校は尋常師範学校の教員養成に当たり官立で設置されました。

尋常師範学校（各府県に設置）：

高等師範学校：

師範学校は全寮制の軍隊式教育による訓育、給費制、卒業後の服務義務を通じて

「師範タイプ」と呼ばれる教師像を形成しました。

これは体制的価値への人民教化の役割を担い、権力への奉仕という属性を持つものでした。

戦前の日本では、女子はごく一部の例外を除いて大学への入学が認められていませんでした。

日本で初めて女子が大学に入学したのは東北帝国大学で、1913年に3人の女子が入学しました。

戦後、GHQ主導で複雑な高等教育制度が改められました。

戦前に48校しかなかった大学は、専門学校や師範学校などの合併により新制大学が誕生し、その数は220校に増加しました。

戦前に中学校だった学校の多くは新制高等学校となり、各地域の進学校となりました。